以前、ひきこもり、家庭内暴力、DVや自殺など、心や人間関係の故障による惨事を防ぐヒントとして「家庭に密室をつくるべからず」というお話をしました。
(はじめての方、忘れちゃった方、こちらをご参照ください)
今号は、その続編として「なぜキレる?」に焦点を当てたお話です。
【叱る × 怒る……おおちがい!!!】
「キレる」を語るにあたりまして。
「叱る」と「怒る」をまずは考察したいと思います。
叱る×怒る
みなさんは、これらの違いを、
日々のくらしで意識しておいででしょうか?
相手が子どもに限ったことではありません。
夫に妻に、親に、上司に、友人に。
どちらも何らかの間違いに対して声を荒立てたり咎めたりする行為ではありますが、
微妙に相手への浸透度は違います。
なぜなら、それぞれの行為の目指すものが違うからです。
■ 叱る(しかる)の意味
「叱る」
→ 相手(目下)の人に対して、非を認め改めさせようと注意をする行為
つまり「叱る」には、
相手(過ちを犯した本人)に、
「あなたは過ちを犯したよ~」
「今後気をつけないと、のちのち自分が痛い思いをするハメになるよ~」
と、説く行為です。
うまく叱ることができるオトナは、
過ちを犯した目の前の人を上手に説くことができるスキルを持っています。
相手が子どもに限らず、
自分の言わんとする情報(感情や常識など含めて)を集結し、
言葉という道具を使い、
時には態度で示して相手に説くスキルです。
子育て期。特に要注意です。
私たち親がそうしたスキルを丁寧にフルに発揮すべく場面、
ご家庭で、日常的に、た~っぷりありますね?
この行為を私たちは「しつけ」と呼び、
あの手この手で子どもたちの成長に練り込んでいくわけです。
■ 怒る(おこる)の意味
ところが、そうしたスキルのない親は、
過ちや間違いに対して叱るということができません。
どうするか?
彼らは、怒ります。
なぜ間違っているか、を説くスキルがないため、
子どもに「お母さんは不愉快よ!」という感情のみを吐露し、
その間違いを(正すのではなく)ストップさせることで解決しようとします。
「怒る」 → 不快な気持ちを外に出す
= 感情の吐露
そうしてさらに怒りが高じると
「キレる」に移行する……
子は親の鏡、といいますね?
そうなんですよ、みなさん。
キレるを語るには、まず、キレる親を考察する必要がある、と相成ります。
【キレる親……STOP を考察しよう!】
ではここで、
みなさんが「うまく説くスキル」を持ちあわせているかどうかをチェックしてみましょう。
□ 相手の気持ちをじっくり聞き、時には察する努力をしていますか?
□ 様々な情報を「いろんな見解があるんだなぁ」
と、柔軟性を持って受け入れる努力をしていますか?
□ 見聞きした情報を集結して消化し、自分の意志として表現するよう努力していますか?
□ 自らの力で選択し、行動し、反省することができますか?
□ 家族で、たくさんおしゃべりを楽しむ環境づくりに努めていますか?
子どもは親を見てますよ~。
話し好きの親からはあれやこれやのお話しを。
怒る親からは怒り方を。
暴力を振るう親からは暴力を学んでいます。
◆ 親が本を読まずして、
子どもに「本を読みなさい」は通用しません。
◆ 子どもの話を聞かずして
「親の言うことを聞きなさい!」も説得力ナシ。
◆ 地団駄踏んで怒っている子に、
ペチンと叩いて怒っても、その場しのぎ。
「子は親の鏡」
……鏡、じっくり見てみてください?
鏡よ、鏡~?
たくさんの人と交わって、
笑って、
上手に子ども叱ることができるオトナがそこに写っておりますか?!
だいじょうぶですか?
だいじょうぶって方、
だったら、次に、
昼に夜に、わが子にだけじでなく、あっちこっちで鏡をのぞいてみましょう。
夫婦・職場・友達関係においてもしかりです。
「ムシャクシャしていたから、人を殺したかった。誰でもよかった」
と、人を殺めるキレる若者を、これ以上、世に出さないためにも……。